色づいて、濁り、落ちていく
「ん?」
「氷河さん、そんな突然!」
「え?ダメ?
恋人同士になったらいいって言ったよ?美冬」
「た、確かにそうですが…
でも、心の準備が…」
「え?わかんない。
僕達は、もう恋人同士だよ?
キスしたりするのに、どうして心の準備が必要なの?」
「恥ずかしいんです!」
「またなの?恥ずかしいって、どうして?
全然意味がわかんないんだけど?」
「うー氷河さん、お願いします。
今日は、キス…だけにしてください」
顔や耳まで真っ赤にして、美冬は懇願する。

「わかった。今日は我慢する」
「ごめんなさい…
でも信じてください!氷河さんのことが好きなのは本当だし、抱かれたくないわけではないですからね。
ただ、本当に恥ずかしいだけなんです」
「よくわからないけど、美冬のお願いはできる限り聞く」
そう言うと、美冬の頬に触れ親指で口唇をなぞった。

「美冬…大好き…」
氷河の綺麗な顔が近づき、二人の口唇が重なった。
チュッと音がして離れる。
「ん…何これ…気持ちいい…!」
そう言った氷河は、再度口唇を重ねてきた。
今度は、なかなか口唇を離せない。

「ンンン…氷…苦し…」
氷河の胸を押し返すが、びくともしない。
しばらく味わうように貪った氷河は、満足そうに口唇を離した。
「美冬の口唇、気持ちよくてクセになりそう。
またしていい?」
自分の口唇をペロッと舐めた氷河。
再度美冬の口唇をなぞった。

「ちょっと待ってください…苦しくて…」
「ん…でも、無理みたい。止まらない…」
そう言って氷河は、更に口唇を奪い貪ったのだった。
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