色づいて、濁り、落ちていく
「綺麗だね。あれ?二つ入ってる」
「これ、ペアのネックレスなんです。だからあの…」
「美冬とお揃い?」

「はい…氷河さんが嫌じゃなけれ━━━」
気づくと、美冬は氷河に抱き締められていた。

「嬉しいー
美冬とお揃いのネックレス!
ありがとう!美冬!」
氷河は嬉しそうに眺める。
「良かったぁ。喜んでもらえて!」
「あれ?アルファベットが刻んである」
「あ、お互いのイニシャルです」
「へぇー凄いね!こんなのがあるんだぁ」
「はい。だから、氷河さんが私のイニシャルの“M”で、私が氷河さんの“H”をつけたいんです」
「どうして、逆なの?」
「うーん、お互いがお互いを想い合ってる意味が込められてるってゆうか…」
「へぇーわかった!」
そう言った氷河は、“H”のイニシャルのネックレスを取り出して、美冬につけた。

「フフ…ついた!綺麗だよ…美冬」
「フフ…」
そして今後は自分にネックレスを身につけた。
「どう?」
「フフ…氷河さんも素敵です!」
「これ、どこのブランド?
僕も美冬に、何かプレゼントする。
お揃いのピアス買ってあげようか?
それとも…
あ!指輪でもいいかなぁ。
将来の予約!!」
氷河は熱っぽく美冬を見つめながら、美冬の耳や左手の薬指に触れた。

「あのこれは、ブランド物ではないんです。
ごめんなさい!私の持ち合わせじゃ、ブランド物は手が届かなくて…」
「え…じゃあこれ、美冬が買ってくれたの?」
「はい。
“私が”氷河さんに贈りたかったので!
それにペア…」

「美冬…ありがとう!僕、こんなに幸せなの初めて!
30年間生きてて“幸せ”なんてないと思ってた。
美冬、僕に“幸せ”をくれてありがとう!」
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