色づいて、濁り、落ちていく
情が混ざりだす
それから氷河は、仕事で遅くなる日や泊まりの仕事以外は美冬を求めるようになる。

基本的に氷河は仕事が忙しいので、毎日抱かれてるわけではない。
だが、美冬にもその日の体調や気分がある。
体調が悪いと言えばなんとか納得をするが、感情がわからない氷河に“気分”は通用しない。

「は?何?またそのわからない感情。
気分が乗らないって、意味がわからない。
僕達は愛し合ってるのに、抱かれたくないなんてあるの?
二週間も美冬を抱いてないんだよ?
もう我慢できない!」
「こうやって抱き締め合うだけじゃダメですか?
キスはしたいです」
氷河に抱きつき、ギュッとしがみついた美冬。

「ダメじゃないよ。でも美冬と抱き合いたい!」
氷河も抱き締め、美冬の肩に顔を埋め言った。
そして美冬に向き合い、両手で頬を包み込んだ。
美冬の口唇をなぞる。
「氷河さん…」
「美冬、僕にはわからない。
愛し合ってるといつでも抱き合っていたいって思うんもんじゃないの?
美冬も言ってたじゃん!
胸が苦しくなって、会いたくなって、離れたくなくて、触れ合っていたくなるって。
美冬はもう…僕の身体の一部なんだよ。
美冬を想うと、苦しくて、愛しくて、ずっとくっついてたい」
「はい。言いました。
でも氷河さんは、凄く疲れててこのまま寝てしまいたいとかないですか?」
「ない」
「あ…ないのか…」

「美冬を抱いて、愛しい、幸せ、気持ちいいって実感してから眠りたい。
だから、抱かせて」
そのまま押し倒した氷河。
美冬の口唇を貪り、身体中にキスを落とした。

結局氷河の深い愛情には敵わず、抱かれた美冬だった。
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