色づいて、濁り、落ちていく
幸い軽傷で済んだ、美冬。
入院をする必要はないので、処置後帰宅することができた。

「氷河さん、ご心配かけてすみませんでした」
処置をしてもらい、処置室を出た美冬は氷河に声をかけた。
「美冬!!大丈夫!?痛い?痛いよね!?」
「軽い切り傷ですので、全然大丈夫です!
頭の傷なので、沢山血が出ただけみたいです」
ニコッと微笑んで、答えた美冬。

「ほんと?良かったぁ~」
氷河は美冬を抱き締め、背中を優しくさすった。

そのまま屋敷に帰りついた二人。
「美冬、今日はもう寝よう。いくら軽傷でも安静にしないと」
「はい。
あの…氷河さん」
「何?」
「……今日は眠るまで頭撫でててもらえますか?」
「フフ…美冬、可愛い。
もちろん、いいよ!」
横になった美冬の横で膝枕をした氷河が、ゆっくり怪我の部分を避けながら頭を撫でた。
その心地よい感触に安心した美冬は、すぐに眠りについた。
美冬が完全に眠りについたのを確認した氷河。
美冬の額にキスを落とした。

そして━━━
氷河の雰囲気が…黒く、重たく、圧迫された。

「絶対に…許さない…美冬を傷つけた代償、払わせる」


ここは氷河の事務所内。

床に正座させられた、ママ二人。

「若!お疲れ様ですっ!」
氷河が現れたのを確認した部下が、氷河に頭を下げ挨拶する。
「で?なぜ、美冬を傷つけた?」
「若の愛情を一心に受けている美冬さんに嫉妬したみたいっす」
「は?嫉妬?
あー、仁士が言ってたな。
でもまた、よくわからない感情がまた出てきた」

「若も、嫉妬したことありますよ?」
< 41 / 47 >

この作品をシェア

pagetop