色づいて、濁り、落ちていく
「わからないですよ?
私の性格を、まだ氷河さん知らないでしょ?」
「うん、そうだね」
「嫌な性格してるかもですよ(笑)」
「どんな?」
「え?
うーん、そうだなぁ。意地悪かも?」
「どんな意地悪するの?」
「うー、そこまで言われると…」
「フフ…」
「え?氷河さん?」
「意地悪じゃないよね?美冬は」
「え?」
「だって本当に意地悪だったら、そんなことを言わない。
それになんとなくわかる。
美冬は心も綺麗だよ、きっと。
僕は人の感情は全くわからないけど、人を見る目はあると思ってる。いくら人形みたいだからって、何もしないで生きてきたわけじゃない」
「そうですよね!」
二人は微笑み合った。

「美冬、風呂入ってきなよ」
「え?氷河さんは入らないんですか?
先に氷河さんが入らないと!それに、背中を流すとかするべきですよね…///」
「そうゆうのは必要ない。
僕は美冬と一緒にいたいだけ。金藤が世話係にしただけだから。
僕の入った後は汚ないでしょ?」
「はい?」
「僕は穢れてるから」
「……氷河さん」
「ん?」
「それを言うのは、やめましょう!」
「え?」
「氷河さんは綺麗です。
この世界は確かに悪い世界なのかもしれませんが、私は良いことだけでは人は生きていけないんだと思います。
人は、正しいことだけして生きてなんていけない。
大切な何かや、誰かを守る為に間違った道に進みこともある。
だから、もうやめてください。
氷河さんが汚ないなんて言うの」
美冬は氷河を見上げ、言葉を繋いだ。

「美冬、やっぱり僕は君が大好きだ。
出逢ってからの数時間で、どんどん心が奪われてる。
そうか…これが、恋なんだ」

氷河は胸に手を当てて、目をゆっくり瞑り言ったのだった。
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