平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
「グレイソン伯爵は、無駄を嫌う。きっと年寄りの私が始めた雑談が、お気に召されなかったのだろう。それで?」
老紳士の目が、不意に軍人顔負けの鋭さを帯びる。
「陛下が信頼する薔薇の称号を持った我々が、こうして今日も〝薔薇の貴族会〟を密かに開催したわけだが――例の魔女騒ぎはどうなっている?」
それは、陛下が憂いを示した案件だ。
「いつもとは変わらないようだが、一部、騒ぎの火元が分からないところがあるのは気になるな」
「あの勘が鋭い殿下も、気にされているようだった」
「元が分からないといえば、そちらの副官から指摘があった、青い薔薇だ」
シルクハットの紳士が、思い出したように言って、鷹のような切れ長の目をジェドへ投げた。
「私の方の組織を動かしてしらみつぶしに調べてみたが、不思議と製造元の情報一つ引っかからなかった」
すると冷静なジェドに対して、場にいた男たちの方が少し驚きを見せる。
「特定できなかったのか? 裏の商売を担ってる、あんたのところでもか?」
「直々に私の方で動いたんだがね。痕跡を辿ろうとすると、途中で消え失せる。商人や占い師に聞くと〝全員が全く違う取引き相手から譲り受けた〟という結果になった。実に奇妙な話だ」
そう語った彼が、探るようにジェドをうかがった。
「グレイソン伯爵のところの〝副官〟は、どうやら勘も働く男らしい」
老紳士の目が、不意に軍人顔負けの鋭さを帯びる。
「陛下が信頼する薔薇の称号を持った我々が、こうして今日も〝薔薇の貴族会〟を密かに開催したわけだが――例の魔女騒ぎはどうなっている?」
それは、陛下が憂いを示した案件だ。
「いつもとは変わらないようだが、一部、騒ぎの火元が分からないところがあるのは気になるな」
「あの勘が鋭い殿下も、気にされているようだった」
「元が分からないといえば、そちらの副官から指摘があった、青い薔薇だ」
シルクハットの紳士が、思い出したように言って、鷹のような切れ長の目をジェドへ投げた。
「私の方の組織を動かしてしらみつぶしに調べてみたが、不思議と製造元の情報一つ引っかからなかった」
すると冷静なジェドに対して、場にいた男たちの方が少し驚きを見せる。
「特定できなかったのか? 裏の商売を担ってる、あんたのところでもか?」
「直々に私の方で動いたんだがね。痕跡を辿ろうとすると、途中で消え失せる。商人や占い師に聞くと〝全員が全く違う取引き相手から譲り受けた〟という結果になった。実に奇妙な話だ」
そう語った彼が、探るようにジェドをうかがった。
「グレイソン伯爵のところの〝副官〟は、どうやら勘も働く男らしい」