平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
「いや、確かにコーマックも気にしていたが――一番はリズが、というべきか」

ジェドは、顔の下を撫でて思い返す。

青い薔薇の造花は、リズとシモンがなんとなく嫌だと感じた一件だった。

コーマックから聞いた話によると、きっかけはリズだったらしい。そして、あのシモンが鼻に皺を寄せていたという反応も気になった。

シモンは、普段から獣的な勘が働く。

そしてジェドは、リズの感覚を蔑ろにできないでいた。

それは好きだからという贔屓目からではなく、過ごしていく中で彼女の不思議な直感やタイミングが働いているような気がした。

たとえば、以前王城でニコラスとリズが、城内の調査員が血眼になって探していた隠し通路をあっさりと発見したこと。

亡霊の件で訪れたベン=ドラッド村で、先にシモンを見つけていたこと。

とくに、シモンを発見した時のことが印象強く残っていた。

『どうか、見つけさせて』

そんなリズの望みに応えるみたいに、山が神々しくざわめいた光景が目に焼き付いて離れないでいる。それはジェドだけでなく、コーマックや獣騎士たちも――。

「女性の勘、というやつかね?」

その時、考え込んでいた紳士が首を捻った。

「まぁ、これだけ調べても何も出ないとなると、あやしい。造花の件に関しては、引き続き調べよう」

「それがいい。ご老侯、守りについてはどうなっている?」

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