平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
嬉しいのだけれど、恥ずかしい。当初のジェドとのギャップもあって、リズの胸をきゅんきゅんさせた。

これまでは外に対してだけ猫を被り、獣騎士団内では『仕事の鬼』と言われていた人なのに……。

婚約者となってから、何度か『ジェド』と名前も呼んでいた。でもずっと団長様と呼んできたから、口にするのも全然まだ恥ずかしくって。

耳までじんわりと赤くなったリズを見て、ここまで、とでもいうようにジェドが降参のポーズをして見せた。

「分かった。今は、仕事の指導が先だな」

ジェドが歩き出し、待っていたカルロの鼻の上あたりをひと撫でし、それからコーマックたちに合流する。

その様子を、リズはバクバクした胸を押さえながら目で追いかけた。

「この調子だと、王都の二人の時間もまぁまぁ大変そうだなー」

「ははは、団長手を全然緩めないの、ウケるわー」

「部屋、分けてもらえて良かったな!」

様子を見守っていた獣騎士の数人が、そばに寄ってきて笑った。他人事な、と思いながらも、部屋の件は事実で何も言い返せなくなる。

結婚式までの滞在先として、ジェドの両親が別邸の一部を獣騎士団にと提供してくれていた。元々、王都滞在用の第二邸であるので問題ないらしい。

以前は同じ部屋を与えられたが、今回、リズとジェドの部屋も婚前だからと別々にされた。

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