平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
正直、それには助かった。ジェドは仕事の鬼のくせに、オフモードになると全ての女の子も魅了する甘さでくるので、心臓がもちそうにない。

すると出立する残りのメンバーもやってきた。

トナーとよくいる三人の獣騎士と一緒に、真新しい鞄を背負ったシモンの姿もあった。鞄を背負っていると、学校に通う品のいいお坊ちゃんのようだ。

「言っておくが、お前を連れていくのは研修の一環でもあるからな」

指示を終えたジェドが、嫌そうな顔でシモンを見た。遊びじゃないんだぞと目で伝えられたシモンが、笑顔二割増しで力いっぱい挙手する。

「分かってるって! 行く時だって、副団長さんの前で大人しくしてるって」

彼は、十五歳の新入り獣騎士シモンだ。珍しい灰色の髪、微笑めば女の子を落とす魅力的な灰青色の目をした華奢な美少年だ。

新しく入った獣騎士の顔見せもあって、彼を連れていくことが決定した。

相棒獣もいない状態での参列は、かなりの〝特例〟なのだとか。

「すでに〝騎獣〟までした身だ。獣騎士候補ではなく、獣騎士として籍を置いている」

ジェドが、今朝も散々言い聞かせてきたことを再度告げる。

「お前の行動は、獣騎士団の顔になる。軍服をつけている時は、きちんと振る舞うように」

通常、騎獣に関しては一人前になってから――のはずなのだが、シモンの場合は順番が逆になった。

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