平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
彼が述べた途端、魔女が泣きそうな顔で苦笑した。そうやって表情がある彼女は、災いを起こす恐怖の悪役には程遠い〝一人の女性〟だった。

「ははっ、あの子らしいね。……そうかい、笑っていたのかい」

「ああ。当時の領主も、婚約者も。そして子孫も大好きだから助けると言われた」

「ほんと変わらないんだね。神の元へいっても」

しばし会話が途切れた。

コーマックたちが、騎獣している獣騎士たちの方を見る。そして、リズたちも一緒になって王都の光景を目に映した。

静まり返った王都と、空に浮かんだ巨大な青い薔薇。花開こうとしているその蕾に向かって、地上からたくさんの花弁が舞い上がり続けている。

「魔法を止めてほしい」

やがてジェドが真摯に告げた。

魔女が物憂げに目を伏せ、それからリズに視線を向けた。そして、その目が訝ったジェドへと戻る。

「領主様、残念だったね。たとえあたしが死んだとしても、魔法は止まらない」

「なんだと?」

「術者の魔力量を超える大魔法ってのは、一度放たれれば制御不能。あれはすでに魔法の中心点という役目を終えている」

魔女が言いながら、広間の中央にある薔薇の像へ親指を向けた。

「そんな……!」

悲痛な声を上げたリズは、しゃがんだドレスのスカートの上に置いてある手を、不意に魔女に重ねられて驚いた。

「だからリズ、今、止められるのは、あんただけなんだよ」

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