平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
『うん。人だけでなく、白獣にも見届けさせるんだよ。それが、グレインベルトの領主である、グレイソン伯爵家の代々の習わし』

そう聞いて、なるほどと思った。

――グレイソン伯爵家は、白獣と共に。

昔、国内第二位の面積を誇るグレインベルの領主は、土地と領民と白獣を守ることを誓い、共に戦っていくことを白獣に約束したとされている。

獣騎士と相棒獣たちの参列は昔からあったもので、代々、花嫁のお披露目の意味もあったそうだ。

「あっ、カルロ! それ探していたのよ」

一階の広間に出たリズは、目に飛び込んできた大型級の白獣に、ぱぁっと表情を明るくした。

それは、ジェドの相棒獣であるカルロだ。他の相棒獣よりも一回り大きく、艶やかな真っ白い毛並みと、白獣特有の美しい紫色(バイオレット)をしている。

カルロが、向かってくるリズを見て、それから咥え持っている大きな荷物へ目を落とす。これを一番に持っていきたいのか……と思っているような表情だ。

「ありがとう、取りに来てくれたのね」

「……ふんっ」

リズが持とうとしたら、ひょいとかわしてカルロが歩いていく。

「私が持つわよ」

大きな首元のもふもふに手を埋め、ひと撫でしながら声をかけたら、ジロリと横目を向けられた。

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