平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
「まだ、気が早いです」

思わず赤面した顔を俯けたら、頬に手を添えられて顔を上げさせられた。

「ここでキスをしたら、怒るかな?」

「――いえ、怒ったりしません」

目を閉じる。彼の唇が優しくリズの唇に触れてきて、化粧が落ちない程度に口付けが交わされた。

「ありがとう。好きだ」

ジェドが、たまらずといった様子で抱き締めてくる。普段なら恥ずかしくて仕方がないのに、リズも今は彼の温もりを感じていたくて身を寄せた。

「私も、好きです」

顔の薄い化粧が彼についてしまわないよう、ジェドを抱き締め返す。

「いい雰囲気だな――馬車の中で、続きをしてもいいか?」

「ふふっ、そういうことを言うと雰囲気台無しですよ」

「リズには、正直でいたくて」

「……そうですね。打ち合わせがきちんと終わったら、ご褒美で」

言えない言葉が胸に痛くて、リズは彼の胸に頬をあてた。ジェドといれば不安なんてなくなるはずなのに、周りの店員たちの声にも不安は煽られていく。

魔女は、実在した。

でも、どうしてリズにまとわりつくのか。考えても答えは出てこなかった。



◆§◆§◆



あの衣装合わせのあと、サイズの仕上げをして完成を待つことになった。

ここ数日は、参列する大貴族へ挨拶へ行ったり、ジェドの両親も加わって嫁入り支度の入り用品を整えていくのを進めたりと慌ただしかった。

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