平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
「むっふふふ。やはりそうでしたか。聞くところによると、一部の地域では魔女が登場する作品は制限されているらしいのです。恐らくそれでしょう」

「どうしてですか?」

「信仰があるからですよ」

奥の棚へと足を進めながら、店主がリズへ茶目っけあるウインクをする。

「魔女という架空の存在のモデルは、神子からきているとも言われています」

「神子?」

「不思議な力を持ち、時には予言し、遠くの失せ物さえ見つけてしまう子供たちのことを、当時は神子、巫女、神童や神の子などと呼んで崇めていたそうです」

しかし、と店主の声が少し潜められる。

「領地の統治に影響してはたまらないと、悪者呼ばわりされイメージを悪くする創作物が誕生した、という説があります。それが『悪役の魔女』です」

「つまりそういう存在を否定するために、災いをもたらす魔女というキャラクターが誕生したということですか……?」

「察しがいいですね。その通りです」

店主が大きくうなずく。

実際に魔女を見ていたから、リズはなんとも言えない。

「まぁそういう歴史的な背景もあって、神子などの信仰があった地域では、魔女が登場する絵本はほとんど取り扱わないとは聞いたことがあります」

ということは、リズのいたリベルラ村もそうなのだろう。魔女が定番キャラ、だなんていう認識がなかったのもそのためなのだ。

「まるで、先生みたいですね」

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