秘め恋ブルーム〜極甘CEOの蜜愛包囲網〜
エピローグ Side 翔
俺には、ずっと忘れられなかった人がいた――。


高校時代の同級生で、可愛い容姿で控えめな性格だった女の子。
モテるのに異性が苦手で、男子の前ではいつもビクビクしていて。けれど、ふと見せるどこか凛とした雰囲気を纏う横顔に、無性に惹きつけられた。


そんな志乃への想いを自覚していたにもかかわらず、結局は告白もできずに高校を卒業し、初恋を燻ぶらせたまま何年もの月日を重ねた。


恋人がいなかった……とは言わない。
ただ、本当の意味で心が惹かれたのはたったひとりで、そのせいで誰とも長続きしたことがなかった。


卒業して五年後に一度だけあった同窓会には、彼女の友人の赤塚いわく仕事で欠席し、再会という淡い期待は叶わなかった。


だからこそ、友人たちの協力のおかげで志乃と再会できたときは、喜びと感動で頬が緩みそうになったほどだ。
同時に、あの頃の面影を残しながらも美しくなった彼女への想いが再燃するのを自覚し、絶対にこのチャンスを逃さないと心に誓った。


紆余曲折を経て、ようやく実った想い。
とはいえ、異性にトラウマを抱えている志乃には軽く触れることしかできず、己の欲と戦う日々は続いた。

< 199 / 205 >

この作品をシェア

pagetop