冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
「保(たもつ)、どうしたの?」
「今から練習だから、そのついでに野菜もってきた。ホウレンソウとじゃがいも、それからきゅうり。それと、りんごと。桃と……」
「またこんなにいっぱい。いつもありがとう」
澪が言えば保は照れたようにキャップを深くかぶり直した。
保は小中高の同級生で、いわば幼馴染みたいなもの。だから澪も保には砕けた話し方をする。
実家の両親と車屋を営んでいて、そこで整備士をしている。昔から元気で明るくてスポーツ少年だった保はどこへいっても人気者だった。家で育てている野菜が育ちすぎるからという理由で、よくこうやって野菜をもってきてくれる。
「今から草野球?」
「うん、そう。しっかし、お腹でかくなったなー」
大きめのワンピースを着る澪のお腹をしげしげと眺める。
「もうすぐだから」
予定日は10月。最近性別もわかった。
「最初澪を見たときは本当に驚いたけど、最近じゃすっかりこの町の人間だよな」
「うん、おかげさまで」
澪に対する噂や、ひそひそ話は少しずつ減っていたような気がする。きっと保がいろんなところでかばってくれたのだろう。
「あ、あのさ……澪」
すると保つが、急にもじもじし始めた。
「なに?」
「あ……いや、その」