冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
いつもなんでもズバズバ聞いてくるくせに、どうしたというのだろう。キョロッとした大きな目を向け、話の続きを待っていると、保が意を決したように口を開いた。
「澪はさ、この先ずっと一人のつもり?」
「え?」
「ほら、父親とか……」
「あぁ」
そういうことか。やっと澪は理解した。
その話題は、きっとこの町のみんなが気になっていることだろう。誰かに聞いて来いと言われたのだろうか。いや、保はそんなスパイみたいな姑息な真似はしない。
実を言うと、光江にもいまだに詳しく言えていなかったりする。ただ「父親はいない」としか。聞いてこないことをいいことに、甘えているのだ。きっと心配しているだろう。出産したら、きちんと自立して、もらった恩や愛情は返すつもりでいる。
「この子と二人で生きていこうと思ってる」
「恋人も作らないってこと? 諦めるの早くない?」
「そうかな」
正確にいうと、作らないのではなく、叶わない恋を今もしていると言った方が正しいかもしれない。
今でも匠馬を想わない日はないし、寝る前は必ず匠馬の顔が浮かんだ。