冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
ふと目が覚めると、澪の隣に匠馬の綺麗な寝顔があった。昨夜のできごとが、現実だったことを突きつけられ、一人で赤面してしまう。
まさか匠馬とこんなことになるなんて、思いもしなかった。まだ下腹部が重たい。お腹のあたりが圧迫されているような、そんな感覚が残っている。
けれど、少しだが気持ちが落ち着いた。人肌が気持ちを癒すことを、澪は初めて知ったのだ。
澪を抱く匠馬の手は優しくて、不慣れな澪を気遣い、何度も大丈夫かと聞いた。その度に嬉しくなり、愛されているような気持ちになった。
でも勘違いはもうしない。これはただの慰め。匠馬の優しさだってことはわかってる。
身支度をして帰ろうと思い、匠馬の腕の中から抜けだす。だがすぐに、その動きを封じられた。
「どこへ行く」
匠馬の低い声が寝室に響いた。
「あの……帰ります」
「まだ早いだろう」
「でも……」
これ以上ここに居る理由はない。昨夜の余韻に浸る関係ではないのだから。