冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~


「神谷……」
「あ、あの。気にしないでください。初めてだからって責任感じなくていいですから」

深刻そうに切りだした匠馬をみて、慌てて言葉をつむいだ。

こんなときですら匠馬に、言いづらいことを言わせてはいけないという秘書魂が働いてしまう。先回りして、仕事をしやすいように、邪魔にならないようにと、ついそういう身の振り方をしてしまうのだ。

「昨夜は取り乱してすみませんでした。社長のお陰で気持ちが落ち着きました」
「なぜまたそういう態度をとる。昨夜は可愛い顔でねだってただろ。もう一回啼かせるぞ」
「きゃっ」

腕を取られたと思ったら、強引に組み敷かれ匠馬の下でまじろぐ。

このアングルは、昨夜のことを嫌でも思い出してしまう。滴る汗、切羽詰まったような顔、荒い息遣い。すごく色っぽくて、男の顔だった。

同時に自分が女だということも……。


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