冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
「神谷さん、ありがとうございました」
「いえ。大変でしたね」
そう言えば、わっとまどかが泣き出した。
「桜井さん……」
「す、すみません」
「中に行きましょう」
背中に手を添え、澪はまどかをフロントの裏手にあるスタッフルームへ促す。椅子に座らせ飲み物を渡すと、まどかを落ち着かせた。
「本当にすみません……」
「いえ、大丈夫ですよ。あんなふうに怒鳴られたら誰だって怖くなります」
「うっ、ひっ……」
よほど怖かったのだろう。澪の言葉にさらに泣き出してしまった。でも無理もない。まどかは今年の新入社員。こんな若い子に、あの手の応対は難しい。本来なら支配人が出てくるべきところだ。
「最近こうこうことが続いて……もう、なにがなんだか」
「他になにかあるんですか?」
「最近クレームが増えた気がします。あの書き込みのせいですよ。私たちは誠意を込めてお客様の対応をしいるのに。それなのに……」
「そうだったんですね」