冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~


「気にしないで。それより体大丈夫? 最近調子悪そうだったものね」
「はい。大丈夫です。ご心配をおかけして、申し訳ありません」

いつか一花にも報告しなければならない。人事にもだ。産休を取るとなればなにからすればいいのか。やることが山積みだ。だけど不思議とこんな忙しさは嫌じゃなかった。むしろ心が弾んでいる。

「あの、社長は今会議中でしょうか?」
「そうそう。なんか緊急みたいよ。私も入るなって言われちゃった。ちょっと不穏な感じだったから心配してるところ」
「不穏ですか」

ちらりと社長室をみやる。

最近あの出来事が株主たちにも知られ、匠馬に対し不信感を抱く声があがっている。週刊誌にまで取り上げられてしまい、それがさらにこの事態を大ごとにしてしまったのだ。

本気で匠馬を下ろそうとする人間がいたら、匠馬に対して不信任案を出すこともできる。そうなれば匠馬は社長の座を退かなければならない。そんなことにならなければいいが。



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