冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~


それ以上追及できず、消沈した様子で俯いたまま頷いた。きっと何かわけがあるのだろう。だけどやはりなんとなくショックだった。

「それと午前中、病院に行ってきたのだろう? どうだった」
「お休みありがとうございました。大丈夫です。ただ……」
「ただ、なんだ」
「近いうちに、お話ししたいことがあるので、お時間をとっていただけますでしょうか」
「もちろんだ。いつにする。日曜の夜はあいていただろう」

澪からのお誘いに、匠馬は嬉しそうに予定を口にする。こんな顔見せられたら、さっきまでショックを受けていた澪も思わず嬉しくなる。

「では、日曜の夜」
「あぁ、できたらどこかで食事でもしよう。予約しておく」
「はい。ありがとうございます」

匠馬は今にも澪を引き寄せ、抱きしめたそうだった。熱烈な目で澪を見つめ、目尻を優しく下げている。

そんな姿を見ていると、澪も少し期待してしまいそうになる。子どもができたと告げたら、匠馬は喜んでくれるのではないか、と……。




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