冷徹弁護士の独占欲にママとベビーは抗えない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
憂鬱な雨空 Side彬
結婚を決めた俺たちは、七緒の実家へ挨拶に行った。

どんな法廷でもさほど緊張しないのに、実家の玄関で顔が引きつったのは覚えている。

けれども、温かく迎えられて『本当に七緒でいいの?』と、逆にお義母さんから尋ねられてしまった。

『もちろんです。大切にします』という言葉は、なにも考えずともすらすら出てきた。

七緒は、二度の退職の理由がセクハラやパワハラだったことは、両親に話していなかった。

彼女なりに両親に心配をかけまいと考えた結果だと思ったので、今回の退職も〝インテリアコーディネーターとして独立するため〟と伝えた。

『独立するまでになったんだな』とお義父さんがうれしそうにつぶやくのを見て、これでよかったと思っている。


一方、俺の両親はもうすでに亡くなっている。それを彼女に伝えたら、目が飛び出んばかりに驚いていた。

幼い頃に父を亡くし、その数年後に母も。
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