冷徹弁護士の独占欲にママとベビーは抗えない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
妻と息子は俺が守る Side彬
西岩建設の内情は、調べれば調べるほどひどいものだった。

まあ、顧問弁護士を引き受ける前から劣悪なのは知っていたのだが。

亡くなった男性従業員の残業時間は、実は公表されているより多く、徹夜も含めて月百時間というのが過少申告だと知ったときは、さすがに人間扱いされていないと怒りが湧いてきた。

鬱病との因果関係が証明できない。

ほかに理由があるのでは?と上層部がほざいていたが、こんなに働かされたら家と会社の往復しかしていないだろうし、鬱病の引き金が過酷な労働環境なのは疑いようがない。

労働基準法三十六条に基づく36(サブロク)協定というものがある。

〝一日八時間、一週間で四十時間を超える残業を命じる場合〟に届け出をする必要があるのだが、西岩建設は手続きしているので問題はない。

ただしこれには上限があり、残業は〝月四十五時間、年間三百六十時間〟までとなっている。

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