冷徹弁護士の独占欲にママとベビーは抗えない【極上悪魔なスパダリシリーズ】

ひと足先に裁判所についていた九条に声をかける。


「八木沢がオロオロするところなんて、見ないと損だろ」
「するか」


俺を煽る九条も口は悪いが熱い信念の持ち主で、今回の件で協力を仰ぐとふたつ返事で引き受けてくれた。

『お前じゃなくて、七緒さんのためにだけどな』と付け足されたのが気に食わないが。


「馬場さんは?」
「今、タクシーで向かってるそうだ。もうすぐ着くはずだから、頼めるか?」


さっき本人に電話で確認済みだ。


「了解」


今日、証人に立ってもらう予定の馬場さんは、親父の直属の部下だった人だ。

西岩建設の資料室で親父が亡くなった頃の業務日誌を見つけたのだが、そこに彼の名前があった。

接触してみたら、親父は絶対に過労死だと話してくれた。

彼は今でも西岩建設に勤めているが、親父の過労死を会社に認めさせられなかったことがずっと心に引っかかっていたのだとか。

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