冷徹弁護士の独占欲にママとベビーは抗えない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「例えば、先ほどの音声記録。けがをしたときの医師の診断書。侮辱された内容のメール、あとは先日お話ししましたパワハラの詳細を記録したものなどです」


手元には下川さんの発言の記録しかない。

園田部長に『経理部の新見さん。どうぞお元気で』と言われたときも録音していたけれど、この発言を客観的に聞いてパワハラと断定するのは難しいだろう。


「この録音データしか……」

「そうですか。裁判所は、客観的な証拠だけを頼りに判断し、判決を言い渡します。証拠がなければ、こちら側にとって優位な判決が出るとは限りません」


つまり、今の状態では訴えても勝てない可能性が高いということ?

それもあって彼は、会社を辞めるように言ったのか。

そこまで話を聞いたところで、一時間ほど時間が経過していた。

壁の時計にチラリと視線を送ると、彼も気づいたようだ。


「今日はここまでにしましょう」


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