陰キャの渡瀬くんは私だけに甘く咬みつく
そう、陽呂くんが欲しいのはあたしと言うよりあたしの血だ。
だって、陽呂くんは……。
「吸血鬼になっちゃった陽呂くんは、週に一回あたしの血を飲むためにここに来てるんでしょ?」
そう、一年と少し前に陽呂くんは死にかけて……そして吸血鬼に助けられたらしい。
陽呂くん自身を吸血鬼にすることで……。
と言っても、伝説にある様に太陽の光を浴びると灰になるとか、十字架に弱いとかってのは無いらしい。
変わったことと言えば、週に一度は人の血を飲まなきゃならないことと、身体能力がとんでもなく上がったことだけ。
あとはちょっとした理由から、陽呂くんにはあたしの血じゃないとダメってことくらい?
そういうわけで、一年前から毎週金曜日の夜にあたしは陽呂くんに血を吸われている。
「……そうだけど……でも同じじゃね?」
「いや、違うよね?」
あたしが欲しいとあたしの血が欲しいじゃ意味合いが全く違うでしょ⁉
ただでさえドキドキが治まらないのに、これ以上熱を与えないで欲しい。
「はぁ……もうどっちでもいいから」
熱い吐息が額の辺りにかかる。
その息がスーッと下りてきて、今度は耳に吹きかけられた。