陰キャの渡瀬くんは私だけに甘く咬みつく
 ねえ、陽呂くん。

 陽呂くんはあたしのことどう思っているの?

 こんな風に求められて、あたしはとっくに陽呂くんに心も奪われてしまっているのに。


 可愛いってたくさん言ってくれるけど、好きとは言ってくれない陽呂くん。

 それがちょっと悔しいから、あたしからも言わないことにしてる。


 だから、あたし達の関係は実は一年前から変わっていない。

 毎週こんなにも求めあっているのに、あたし達の関係は家が隣の同級生ってだけ。



 それを変えたいと思っているのに、『好き』の二文字がないことが不安で……。

 不安で、今を壊したくなくて、結局変えられない。



「はぁっ、陽呂、くん……っ!」

 そうして今日の夜も、あたしは陽呂くんでいっぱいにされてしまう。

 〇
< 16 / 205 >

この作品をシェア

pagetop