陰キャの渡瀬くんは私だけに甘く咬みつく
 それが良かったのか悪かったのかは分からない。

 でも、見つけてしまった以上俺は美夜を手放せない。

 手放してしまったら、俺はきっと狂ってしまう。


 だから求めて、求めて。

 そしてこんな風にいつも意識を失わせてしまう。


 いつも触れたくても我慢している美夜の胸が規則的に上下している。


 美夜が欲しい。

 美夜の全部が欲しい。


 好きという言葉だけじゃ足りない。

 愛してるなんて優しい感情じゃない。


 全部ぶつけて問答無用で囲い込めたら楽なのにといつも思う。

 でも、そのせいで拒絶されたら立ち直れそうにない。



 美夜の様子を見てればそこまで悪くは見られていないと思う。

 多分、どっちかって言うと好きな方だと思う。


 それでも全部をぶつける勇気は出ない。

 というか、好きだと伝えることすら怖くて出来ない。


 俺は元から根暗だし人と関わるのが嫌いだ。

 自分でも陰キャだって思ってる。

 そんな俺が好かれるとか幻想じゃねぇ? とか思ってしまう。


 だから、この一年毎週俺を受け入れてくれてる美夜にも気持ちを言えないでいる。

 言わなくても、受け入れてくれているからそれに甘えてズルズルと血を吸って、たくさんキスをするんだ。
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