GET BACK TOGETHER
そんな臆病なくせに、「彼女がいるでしょ」とか、「やっぱり止めない?」とは言えなかった。

光輝に「後悔しない」と言って欲しいだけかもしれない。


光輝は部屋の鍵を開けると私に振り向いた。


「じゃあ、何もせずに帰る?するの、止める?」

形の良い口が私に微笑みながら言った。


その私を誘うような瞳と、艶やかな表情に一瞬で酔わされた。


今さっき、逃げようとしていたのに、逃げたくなくなった。


そしてまた悪魔が私に囁いた。

このまま抱かれて彼女から奪ってしまえって。



「……止めないーーーーんっ!」


最後の『で』は言わせてもらえなかった。

口を塞がれてしまったから。


ホテルの廊下で光輝にキスされた。
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