きみは溶けて、ここにいて【完】
休み時間、トイレの個室で、朝にもらった手紙の一枚目にじっくりと目を通す。
どれだけ、手紙の分量が増えても、影君のボールペンの字は相変わらず綺麗だった。今日もらった手紙には、影君ができたきっかけは言えないと書いてある。
ごめんなさい、の文字を見て、聞いてしまったことをすぐに後悔した。
余計なことを聞いた。答えられなくて申し訳ないと思わせてしまった。
きっと、どう書けばいいのか、影君は迷ったのではないかと思う。
そういう推論ができるくらいには、影君のことを知っているつもりになっていた。
二枚目は、また、家に帰ってから読むことにして、封筒に便箋をしまう。
教室に戻ると、すでに次の授業の先生がきていて、ちょうど席に座ったくらいにチャイムが鳴った。ギリギリセーフだ。
授業中、後ろの方の窓側の席であるのをいいことに、こっそりと森田君に目を向けてしまう。
あの日から――影君と仲良くなることをお願いされた日から、知らぬ間に森田君に視線がいくことが多くなってしまった。