きみは溶けて、ここにいて【完】
勘違いをしては、だめだ。
森田君と影君は別。
私が手紙で知ったのは、影君のことで森田君のことではない。
一人の身体に二人がいることを疑う気持ちももうほとんどなくて、だけど、影君に色々と質問に答えてもらったとて、やっぱり仕組みが分からないから、ときどき思考はばらけてしまう。
影君と森田君は全然違っているのに、同じ身体を所有しているという事実が、そうさせている気がした。
昼休み、久美ちゃんと一つの机にお弁当を並べて向き合って食べる。
気を付けていなければならないと思っていたのに、ふと、気を抜いて、森田君の方に視線を向けてしまった。
目を細めて笑いながら、机の上に座って、パンを頬張っている。机の上に座るのなんて、行儀悪いはずなのに、森田君ならなんだか許されてしまうような気がする。
影君ならそんなことは絶対にしないのだろうなと思いながら、数秒、じっと彼を見つめてしまっていた。
それから、視線をお弁当に戻して、プチトマトを箸でつまむ。
すると、なんだか強烈な視線を前から感じた。顔を挙げると、久美ちゃんがじっと私の方を見ている。