相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
「お前…もしかして…高屋夫人に好意を寄せているのか?」

「はぁ?違いますよ…高木先生…梓さんには高屋副社長が居るでしょ?俺にも遥が居ますし」

「それにしては熱心だな…お前の高屋夫人の入れ込みようは異常だと院内でも噂になってるぞ…」

「・・・だって…彼女は…」

彼女の父親は俺に夢を与えてくれた人。
まぁ、院内のウワサ通り、俺は梓さんに入れ込み過ぎているかもしれない。医者として、彼女の強い生命力に魅せられながらも、こんな形で生かしてしまった負い目もあった。
俺は高木先生の追求から逃げるようにICUから出た。
仕事の負担が増し、梓さんのコトを考えると食欲も湧かないし、カラダも疲弊していた。

初夏の陽射しが眩しく差し込む東館と西館を繋ぐ渡り廊下。
俺は此処で良く転がって昼寝をしていた。
そして、いつものように転がって眠ってしまった。

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