相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
俺はICUを出て、人気のない場所で嬉し涙を流した。

やはり、梓さんは凄い。
彼女の生還に力強い生命力を感じた。

――――本当に奇跡はあった。

でも、これは一つの山に過ぎず、彼女は意識を回復させたものの、高熱を出し意識が混濁し始める。
それから一週間。
彼女の容体は一進一退を繰り返す。
「何だ…また来たのか…マキ」

「あ・・・はい」
高木先生が俺の隣に立ち、梓さんを見つめる。
俺は忙しい合間を縫い、梓さんの元に通った。

「お前も忙しいだろ?」
「忙しいですよ…」

「高屋夫人のコトは俺達に任せろ…遥先生の話によれば…お前…食事もろくに取ってないようだな…顔が窶れているぞ・・・」

「大丈夫ですよ…」



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