相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
翌日。
朝まで戻って来なかった奏弥さんを心配して、早めに出勤して、産婦人科医局を覗いだ。

「槇村先生…あそこのソファで仮眠してますよ…」

同じ産科医の杉村先生が教えてくれた。

「昨日の事故の妊婦さんは??」

「・・・あ・・・搬送されて来た時には意識レベルがかなり下がっていて…緊急帝王切開で赤ちゃんも取り出したけど…母子共に助からなかったよ…」

「そうですか・・・ありがとう御座います…」

私は奏弥さんの眠るソファに近づいた。

白衣を着たまま眠る彼。

頬には涙の痕が見える。
きっと、ママと赤ちゃん二人の命を救えなかったコト・・・悲しんで泣いていたんだろう。

私も何度か経験している…
医者の仕事を続けるには患者さんの死を何度も乗り越えていかなければいけない。
考えてみれば過酷な仕事だ。
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