相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
俺は言われた通り、御手洗いの鏡で自分の顔を見た。

情けない顔をしていた。

俺は夢中で顔を洗い、医局に戻って応接のソファに横になった。

そう言えば…遥から貰った昆布おにぎりは何処に?

白衣のポケットを探ると昆布おにぎりが出て来た。

遥が持たせてくれたおにぎり。

俺はカラダを起こして、寝る前におにぎりを頬張る。

―――遥…ママと赤ちゃん、救えなかった・・・

俺は少し自分の力を過信していたかもしれない。
また、涙が瞳から溢れた。

おにぎりは自分の涙のしょっぱさが混じり、塩気が増した。

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