敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
玄関に向かった母がドアを開けると、仁くんはものすごい勢いで部屋の中に入ってきた。

「美玖、なんだこれは」

慌てて駆けつけたのだろう、乱れたスーツ姿の仁くんの手には【実家に帰るね】という私の置き手紙が握られていた。

私はすぐさま目を逸らす。

仁くんを直視できない。

「まさか離婚を考えているんじゃないだろうな」

口ごもる私の腕に、仁くんは取り乱した様子で掴みかかった。

「俺は絶対に美玖と離婚しないからな」

「え……? 仁くん、三カ月後に別れてもいいって……」

「別れてなんかやるもんか」

言い切る仁くんに、私は唖然とした。それでは話が違う。

「お義父さん、お義母さん、ご挨拶もせずに乗り込んですみません。美玖さんを連れて帰ってもかまいませんか?」

仁くんは私の両親に問いかけた。

「ああ、もちろん。なにがあったのかは知らないが、ふたりで話し合いが必要だろう」

父が返事をすると、母もうなずく。

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