敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
とはいえ、仁くんが知らないふりをしている可能性だってあるのだ。

「俺が信じられないか?」

仁くんは真剣な表情で私の目をのぞき込む。

「仁くんを信じたいけど……」

一方だけの話を信じて判断するのは危険だと、たった今思い知ったばかりなのだ。

雪村さんの話が嘘であってほしいと願っているけれど、真実がわからない。

「わかった。まずはその女性に会って事実はっきりさせよう」

「仁くん、雪村さんに会うの?」

「ああ。美玖も同席してくれ」

仁くんは躊躇なく決断した。

雪村さんへの連絡は仁くんからではなく、私からするのがいいだろうという結論に至る。

「俺が行くのは伝えなくていい」

「うん」

バッグからスマートフォンを取り出すと、ちょうど雪村さんから【その後仁さんとはどうですか?】というメッセージが届いていた。

私はそれに返信する形で【直接会ってお話がしたいです】と送る。

雪村さんは快諾してくれ、明日の夜、彼女の仕事終わりに先日話したカフェで落ち合うことになった。

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