敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
「どうせ脱ぐからいらないだろ?」

「脱ぐっ?」

「ああ。初夜だからな」

初夜!

まさか仁くんがそんなことを考えているなんて思ってもみなかった。

「仁くん待って!」

「待たない」

「えっ? 私、結婚式で誓いのキスすらできなかったよね? 仁くんもそれを受け入れてくれたはずじゃ……」

「受け入れたつもりはない」

仁くんはきっぱり否定した。

ベッドに乗り上げ私を見下ろし、すっと目を細める。

「俺は偽装夫婦になろうなんて持ちかけたつもりはないが?」

たしかに仁くんは『試しに俺と結婚してみないか?』と言ったが、それは今後本当の夫婦になるのを見込んでだ。

決して偽りの関係を築こうとしているのではないのだと突きつけられる。

「美玖は俺と抱き合う覚悟もないのに結婚したのか?」

「だって、仁くんとエッチするなんてありえないし……」

言い訳がましくつぶやくと、仁くんは口の片端を吊り上げ、好戦的な表情になる。

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