敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
すると仁くんはふわっと表情を緩め、みんなが見ている前なのに私の頭を優しく撫でる。

「美玖のあーんがかわいかったから許す」

「なっ……」

一瞬で顔が熱くなり、私は口をぱくぱくさせた。

『見ろ、あのジンの表情を。普段のポーカーフェイスが嘘のようなにやけっぷりだぞ』

『ジンは相当ミクにメロメロなのね』

夫人たちまで目を丸くしていた。

私はなんだかいたたまれなくなる。

平然としていられる仁くんが信じられない。

『ミク、どうかジンを末永くそばで支えてやってくれ』

仁くんの友人に握手を求められた。まっすぐに私を見つめる緑の瞳からは、心の底から仁くんの幸せを願っているのが伝わってくる。

全員が笑顔で、私と仁くんを温かく見守ってくれていた。

仁くんは本当に彼らに愛されているのだ。良い友人関係を築けている仁くんは幸せ者だと思う。

『はい』

私は胸を打たれ、しっかりとうなずく。

彼らのおかげで、私は仁くんの妻としての自覚が出てきた気がした。


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