敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
翌日は仁くんの取引先関係者との会食があった。私はそちらにも着物姿で同席する。

前夜、知人たちとの食事会でうまく緊張がほぐれていた私は、落ち着いて会食に臨むことができた。

仁くんはまだ数日こちらでの仕事が続くが、私の大きな出番は特になくなる。

すると三日目の朝、仁くんの秘書の男性と共に、初めて顔を合わせる女性社員がスイートルームにやってきた。

「奥さま、はじめまして。橘田咲和(きった さわ)と申します」

カジュアルなパンツスーツ姿の橘田さんは、私と同年代くらいの見た目で、ウルフヘアのかっこいい雰囲気の女性だった。

「はじめまして。希瀬美玖です」

状況がわからないまま挨拶を返し、ちらっと仁くんを見た。

すると仁くんはネクタイを結びながら私を振り向く。

「俺が仕事中、美玖は橘田と市内観光でもどうだと思ってな」

「え?」

「橘田は十五歳までニューヨークで暮らしていて、こっちのことならなんでも知っている。いろいろ案内してもらえ」

< 47 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop