敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
けれど、そんなある日。

日々の運動も兼ねて、徒歩でスーパーマーケットへ買い出しに行った帰り道、見知らぬ女性に声をかけられた。

「重そうですね。お手伝いしましょうか?」

つい見惚れてしまうくらいきれいな女性だった。

年齢は私と同じくらいだろうか。清楚な顔立ちにセミロングの黒髪――手足は今にも折れそうなくらい華奢だ。

カジュアルなパーカーにパンツ、スニーカーの私とは対照的に、彼女はフェミニンなジャケットにレース素材のカットソー、フレアスカート、ヒールの高いパンプスを履いている。

「大丈夫です。ありがとうございます」

私は笑みを浮かべた。

そもそも彼女はいったい誰なのだろうか。

「私、雪村香耶(ゆきむら かや)と申します。希瀬仁さんの奥さまですよね?」

「そうですが……」

雪村さんと名乗った女性は私も仁くんも知っているようだが、私は彼女がわからず困惑した。

「すみません、どこかでお会いしましたか?」

「いえ。お目にかかるのは初めてです。仁さんについてお話したいことがありお伺いいたしました。少しお時間をいただけないでしょうか」

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