敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
「よかった……。ではまだ間に合いますね。私のようにあなたもボロボロにされる前に、一刻も早く仁さんと離婚するべきです」

どうやら雪村さんは私に助言しに来てくれたらしかった。

でも、つい激情に駆られてしまったけれど、仁くん本人の口からきちんと聞くべきだ。

「まずは仁くんと話し合いたいです」

これは私たちの人生に関わってくる重大な問題なのだ。雪村さんの話だけを鵜呑みにして判断はできない。

「仁さんに話しても、うまくごまかされるだけだと思いますよ。なにも言わずに彼から離れるべきです」

「でも……」

言いよどむと、雪村さんは理解を示すように何度もうなずく。

「わかりますよ。私も彼が好きだったから、彼への想いを止めるのは大変でした。この話を信じたくない気持ちも理解できます」

「はい……」

「でも全部真実なんです。移り気の多い彼に捨てられて傷つく前に、あなたから行動するべきです。どうかご決断を」

訴えかける雪村さんの迫力に気圧されてしまう。

よほど仁くんを恨んでいるのか、殺気さえ感じた。
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