敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
私もある日いきなり仁くんに放り出される日が来るのだろうか。

私だけ例外なんてあるはずもないから、きっとそうなのだろう。

押し黙ってしまった私に雪村さんは「いつでもご連絡くださいね」と連絡先を記入したメモを残して帰っていった。

私はただただ呆然とそれを見つめる。

昨日までの幸せが、全部夢に思えた。


その夜。

仁くんは明日からまた海外出張でドイツに行くので、私は彼の着替えなどを用意してスーツケースに詰めていた。

今回私は同行しないから、一週間ほど離れ離れになる。

タイミングが悪いなとため息をついていると、お風呂上がりの仁くんがやってきた。

「美玖、ありがとう。あとは自分でやるよ。美玖も風呂に入っておいで」

「うん」

私はどうしても仁くんと目を合わせられず、作り笑いを浮かべてバスルームに向かった。

シャワーで汗を流しながら、雪村さんとの会話を思い起こす。

仁くんにはまだなにも話していないけれど、やっぱりどうしても彼が彼女にひどい仕打ちをしたなんて信じられなかった。

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