敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
食事の後片付けが終わったとき、母は「そうそう」となにかを思い出したように、リビングのチェストから一枚の写真を取り出した。

「これ、アルバムに綴じ忘れていたみたいで、この間ひょっこり出てきたの」

母が私に差し出したのは、幼い頃の私と仁くんの写真だった。

写真に入っている日付によると、私が七歳、仁くんが十歳の夏のものだ。

場所は我が家のリビングで、私たちは隣り合って座りながらスイカを食べている。

仁くんはこの頃から顔が完成されていて、整った面差しをしていた。

タンクトップ姿の私の左腕には大きな絆創膏が貼られている。生傷が絶えなかった私らしい。

「美玖、この怪我を覚えてる?」

母に訊かれ、私は首をかしげる。

「さあ。いっつも傷だらけだったからわからない。どっかでぶつけたのかな?」

「これは美玖が仁くんを庇って負ったものなのよ」

「え?」

< 98 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop