優しい幽霊さん

ミリさんは必死に手を合わせ、僕にお願いと言う。でも、僕はミリさんが本当にこの心臓の持ち主なのか信じられなかった。だって、日本じゃ誰が誰の臓器を貰ったなんて教えてもらえない。彼女の心臓を僕が貰ったなんて証拠は何もないんだ。

「そうだよね、信じてもらえないよね……。う〜ん、どうしようか……」

ミリさんは僕が疑っていることを察しているのか、考え始める。しかし、数秒でその考え込む顔は元の笑顔に戻ってしまう。

「まあ、難しいことは考えなくていっか！君は今、幽霊と会って話してるってファンタジーな体験してるわけだし、難しいことこれ以上考えたくない。じゃあ、一緒に遊びに行こう！」

半透明な手が僕の手を掴む。そして、僕はミリさんに手を引かれてどこかへ連れて行かれた。

「君が授業中の間、適当に街をブラブラしてたんだ〜。でも、やっぱりお出かけするなら一人より誰かと一緒の方が楽しいよね！」

ミリさんはそう言い、僕を連れて行ったのはカラオケ。ちょっと待って、カラオケなんて行ったことない……。