年下男子に追いかけられて極甘求婚されています
大人気老舗旅館の若旦那である潤くんは忙しいのに加えて私と時間が合わなくて話し合いをする時間がなかなか取れない。それに結婚式をするとなるとご両親はじめ旅館関係者の出席が必須になるような気がする。皆で休みを取るなんてことは無理なんじゃないかと、さすがの私でもわかる。

両家顔合わせだけでも日程合わせるのが大変なのに、結婚式となるとやはり現実的ではない気がするのだ。こういう時にギャップを感じるのだろうか。

事務職と接客業の休みの違い。

いくら私がわがままだからって、潤くんの仕事に迷惑をかけるようなことはしたくない。それになんといってもまだ潤くんのお母さんから許可をもらっていない。

「母さんのことはなんとかするから、俺たちは先に進めよう」

「うん、じゃあどうしようか」

「結婚式のことは置いておいて、まずは新居のことを考えないか?」

「そうだね、それも大事よね」

結婚をするとなるとやることはたくさんある。結婚式はただのイベントでしかないのだ。それよりも現実的な住む場所や家具なども早々に考えておかなければいけない。

「セキュリティの高いマンションにしよう」

「ええっ、家賃高そう」

「お金のことは気にしなくていい。俺は勤務が不規則だから、なぎを一人にしてしまうことも多いと思う。セキュリティが高くないとなぎが心配だ」

「過保護だねぇ」

「当たり前だよ」

至極当然かのように言うので、改めて愛されていることを実感した。

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