白球姫。
通勤通学ラッシュと重なり
つり革さえ持てない
ギュウギュウの満員電車。
通勤通学ラッシュは地獄だ。
これを高校生活3年間…?
考えただけで余計に疲れる。
私、花村 沙姫(はなむら さき)は
川永(かわなか)高校に
昨日入学した1年生。
昨日の入学式は午後に行われたため
今日が初めての通勤通学ラッシュ。
香水や整髪料、洗剤の混ざった香り
酸素は薄く、じわりと汗をかく。
急行に乗って最短で
最寄り駅に着くはずなのに
遠く感じる。
まだ?最寄り駅はまだ?
ダメだ気持ち悪い…
目の前が少し暗くなり視界が回転する。
「間もなく川永~…」
着いた最寄り駅だ。
降りなきゃ。
乗り換え路線が多くある駅のため
川永生だけでなくサラリーマンも
多く降りる。
流れに逆らわず、押し出されながら降りる。
ベンチ…ベンチ…
視界に見えるベンチが歪み暗転すると同時に
掴まれる私の左腕。
誰が私の左腕を掴んでいるのか
確認できる余裕さえない。
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