学園恋愛オムニバス
「えっ!?何!?」
突然過ぎて驚いているとその女子にパッと手で口を塞がれた。
「シーっ!」
「安斎(あんざい)どこ行ったーっ!?校則違反の髪色と服装許さないからな!!」
外で3年の風紀委員の男子が叫びながら通り過ぎて行った。
「行ったみたいだよ?」
勇人はドアを少し開けて外を確認しながらそう言った。
「はぁ~…もう少しだけいさせてー」
改めてその女子を見ると金髪にピンクのハイライトが入ったの髪の毛を巻いていて制服のリボンも学校規定の物ではなく、所謂ギャル系の見た目の子だった。
小柄で目がクリっとしていて唇もぷるぷるしてて可愛……って、俺こういうタイプの子も可愛いとか思うんだ。
うちの学校は教師よりも特に3年の風紀委員の方が服装に厳しく、よくこうして追い掛けられているのを見掛ける。
「ってか!バスケ部のキャプテンだぁ!月菜(るな)ちゃんの彼氏!ねー!今度月菜ちゃん紹介してぇ!友達になりたいー」
実は神田さんはティーンに人気の雑誌のモデルをしていてかなりの有名人だった。
最近は仕事をセーブしているようで仕事がない時はバスケ部のマネージャーをしてくれている。
「全然良いけど、俺が紹介しなくても月菜なら声掛ければすぐら友達になれるよ」
「えー!でもさぁ、月菜ちゃんすっごい可愛いくて大好きだから緊張しちゃうんだもーん!」
「すっげぇわかる!月菜すごい可愛いよなー!俺も大好きだし!」
勇人って本当誰とでもすぐ仲良くなれるんだよな…。
俺一言も喋れてないんだけど。
「キャプテンは彼氏じゃん!ってか、キャプテン名前なんで言うの?私は4組の安斎麗桜(あんざい うらら)だよー」
「俺は杉田勇人」
「勇人ね!正統派イケメン君はー?」
安斎さんはそう言って俺の方を見る。
「え?俺?」
「俺も和樹は正統派イケメンだと思う!」
「そ…そう言われて悪い気はしないけど…諸星和樹です」
「和樹ね!二人がいて良かったー!このリボン彼氏のあっくんがくれたリボンだから没収されたくなかったんだぁ…髪色もね!あっくんの好みなのー」
安斎さんはそう言って規定とは違うリボンを触った。
よく見ると爪も派手な赤に近いピンク色をしていた。
「そしたら学校にいる間は外しておいた方がいいんじゃない?学校にいる間は鞄とかに付けておいて学校出てから着けたら?」
「そっかぁ!和樹頭良いねー!そうするー!」
「大した提案じゃないけど…」
余計な事言ったかと思ったけど、安斎さんはすぐにリボンを外してスクールバッグに付けていた。
「ねぇ!リボン付けたら可愛くない!?和樹ー!連絡先のQRコード教えてー」
「良いけど…俺だけ?神田さんと仲良くなりたいなら勇人の聞いた方がいいんじゃない?」
「だって!勇人は月菜ちゃんの彼氏じゃん!彼女持ちの人のは聞いちゃ駄目だしっ!」
「俺も彼女いるけど…」
「エッ!?」
「ついでに言うと麗桜ちゃんも彼氏いるんじゃなかった?」
「ああぁ!麗桜浮気じゃん!うー!でも、折角二人と友達になったのに!」
「じゃあ、ほら3人でグループ作ればいいじゃん!あとで月菜も誘えば麗桜ちゃんが月菜と友達にもなれるしいいっしょ」
「勇人頭良いー!グループ作ろー!」
結局グループ作るのに連絡先交換したけど…。
派手な見た目な子だったからどうかと思ったけど、明るくて素直な子だ。
これが安斎さんとの出会いだった。