学園恋愛オムニバス
昼休みになっても彼女に送ったメッセージに既読が付くことはなかった。
「和樹、今日の放課後の部活なくなったから」
「え?何で?説明会の準備明日からじゃなかった?」
明日から学校説明会で体育館が使えなくなるのは知っていた。
うちのバスケ部は元々弱小だったところ弱小なら楽しくやろうという勇人の方針で同好会に近いので学校の行事があれば大体休みになる。
「説明会の準備今日から始めたいんだって」
「そうなんだ…」
「誕生日なんだし彼女と放課後デートしてこいよ!」
「うん…そうだな」
一応そんな返事をしたが、ぶっちゃけこのまま彼女から返事が来なくても部活の予定があるから気にしないで済むと思っていたけど…
虚しい感じになってきたな。
いや、まだスマホを忘れたという可能性も捨てきれない。
もう一度今度は放課後部活無くなったからデートでもしないかという内容を送った。
そして案の定放課後まで未読スルー…
勇人は神田さんと放課後デートに行ってしまって、結局バスケ部のメンバーがカラオケで祝ってくれると言ってくれたのでみんなでカラオケに行く事になった。
みんなで学校を出て駅の方へ向かっている時だ。
「なぁ、諸星…あれ彼女じゃない?男といるけど」
「え?」
そう言われてそっちを見ると私服の男の腕にくっ付いて歩いている彼女がいた。
相手大学生とか?
…どういう事?
とりあえずすぐにスマホに電話を掛ける。
「もしもし?」
「もしもし俺だけど…」
「あっ!ごめーん!スマホ電源切れてて今日学校でずっと充電してたー」
「いいけど…今何してる?」
「今?えーーっと…友達と遊びに行くところかな?」
すると電話の先で男の声がした。
「なぁ?男?俺といる時に男と電話すんじゃねぇよ」
「すぐ終わるから待ってっ……ンっ」
前方にいる彼女は横にいた男とキスをしている。
バスケ部のメンバーみんながその光景を見ていてみんな黙っていて気まずい雰囲気が流れていた。
「…もしもしっ…ごめんねー!犬がぁ…ちょっと忙しいから切るね!」
ブチッ
前方にいた彼女は男とイチャイチャしながら俺達に気付くことなく歩いて行った。