学園恋愛オムニバス
家に着くと一番に弟の陸(りく)が走ってきて飛びついて来た。
「かずにぃおかえりーっ!早くケーキ食べよ!」
「おかえりーっ!ケーキ!」
妹の音(おと)も後ろから遅れてやってきた。
「ただいま、その前にお客さんに挨拶して。安斎さん、弟の陸と妹の音」
「わっ!和樹のお家こんな小さい子いたんだねー!こんにちは!麗桜だよ~」
「「こんにちはー…」」
安斎さんは急に人見知りをして俺の後ろに隠れた二人にしゃがんで同じ目線で可愛い笑顔で挨拶をしてくれた。
ちゃんと小さい子に配慮してくれていて何となくギャップを感じた。
すると母さんが出てきた。
「こんにちは、いらっしゃい!いつも和樹がお世話になってます!どうぞ上がって」
「ふぁい…お邪魔しますっ」
「安斎さん緊張してる?」
「緊張するよ~」
「ははっ!緊張しなくて大丈夫だよ」
安斎さんを家の中に案内すると、いつもよりも品数の多い料理が用意されていた。
食事が始まる頃には陸と音は安斎さんの隣りに座ってすっかり懐いていた。
「うららちゃんこれ美味しいから食べてー!」
音は安斎さんの口元にフライドチキンを持って行って食べさせていた。
「本当だー!美味しいねー!麗桜フライドチキン大好きだよ」
「音もー!」
「音ちゃん次はどれ食べよっかー?」
懐いてるのは良いけど、安斎さんに面倒見てもらってるみたいになってしまった…
「音、安斎さんが食べるの邪魔しちゃ駄目だろ?ほら、お兄ちゃんの隣り来な。安斎さんごめん」
「何でー?音ちゃんとご飯楽しいよー?」
「ねぇ!オレはー!?」
「陸君も楽しいよー!」
「こら、陸!ちゃんと座って食べなさい。安斎さんお客様なのに本当にごめんね」
母さんはそう言って安斎さんの方にすぐに行こうとする陸を椅子に座らせた。
「全然平気ーっ!…です!麗桜小さい子好きだもん!」


